本年度は以下の3点の研究を行った。 1韓国における法科大学院制度導入後の法学教育の調査研究 韓国は2009年より法学教育制度を全面的に改革し、法科大学院制度を導入し、法科大学院設置大学は法学部を廃止することとした。法科大学院は極めて強い政府の統制の下にあり、入学定員は全国で2000名、大学数は25校(ソウルが15校・地方が10校)、入学試験には大学の成績、適性試験、外国語能力を要求し、司法研修所を廃止し、新法律家試験の合格率は80パーセントとした。この制度改革により、法科大学院制度は法律家養成のみならず国家中枢のエリート養成機関としての性格を強めている。これについて、文献調査及び現地訪問調査を行ったが、学士法学教育のあり方、とりわけ民法学教育に関しては、制度改革を始めたばかりなので、現地の大学においてもその本格的な検討はされていないことが判明した。 2アメリカリベラルアーツ大学における法学教育の調査 アメリカの中西部にあるリベラルアーツ大学約30校の法学教育の目的、内容などについて、ホームページを通じての調査を行った。これによりこれまでの研究で明らかにしたような学士法学教育に関する4類型の存在を確認した。当初はその内のいくつかの大学について現地訪問調査を予定していたが、時間的な余裕がなく、その実施は将来の課題とした。 3報告書のとりまとめ作業 上記2課題についてのみならず、平成20年度に行ったアメリカの学士法学教育についての文献調査、実地調査のとりまとめ、日本における学士法学教育の内容についての調査等をまとめた報告書の作成作業をした。
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