本研究は、信託違反に関与した第三者の責任の内容と範囲について検討するものである。英米法特にイングランド法においては、不誠実に受託者の信託違反を幇助した第三者には、受託者と同様、損失てん補責任または利得返還責任を負うとされていることが看取された。 また、信託違反であることを知って、信託財産またはその代位物を受領した者は、その財産を受益者のために保持することを求められる。また、受益者が信託財産または代位物に対して物権的な返還請求することができない場合には、受領者はその財産の価値を賠償する責任を負う。この責任につき、イングランドの学説とカナダの判例の中には、不当利得にもとづく厳格責任と解する説もあるが、これに対してknowing receipt責任は、不当利得責任と区別すべきとの見解も主張されている。
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