本研究は、特許制度等の知的財産制度と、開発(Development)(特に発展途上国の経済発展を指す。)との相互関係について理論的及び実証的に分析したうえで、開発に資するとの観点から、知的財産法制のあり方について検討を行うものである。平成20年度においては、まず第一段階として、国内知的財産制度に関し、具体的なテーマをトピック的に採り上げ、深く掘り下げる検討を行うことを目指し、次のような問題について検討を行った。 (i) 技術移転に配慮した特許制度及び関連法制度のあり方はどうあるべきか。国際ルール(各種条約)との関係はどうか。 (ii) 外国著名商標の保護など、商標制度及び不正競争防止制度における国際的なビジネスに配慮した制度のあり方はどうあるべきか。 業績としては、(i)の関係で、我が国の特許制度に関する論文1本を公表した。これは直接的には日本の制度を扱うものであるが、特許制度の基本骨格についての政策論につながる内容であり、外国(台湾等)の研究者からも一定の評価をされた。(ii)については、我が国の商標制度の改革案として、商標概念の拡大について検討し、論文1本を公表した。また、以上のほか、包括的なテーマに関するものとして、知的財産保護と国の開発水準との関係についての学説等を俯瞰する小論1本を公表した。
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