本研究は、特許制度等の知的財産制度と、開発(Development)(特に発展途上国の経済発展を指す。)との相互関係について理論的及び実証的に分析したうえで、開発に資するとの観点から、知的財産法制のあり方について検討を行うものである。平成21年度においては、次のような問題について検討を行った。 (i)技術移転に配慮した特許制度及び関連法制度のあり方はどうあるべきか。国際ルール(各種条約)との関係はどうか。 (ii)著作権制度において、各国の開発状況等に応じた柔軟性を確保することについての現行条約上の制約は、いかなるものか。 (iii)TRIPS協定との整合性が適用が問題となった具体例として、中国の知的財産制度に関する紛争案件を取り上げ、パネル報告書の分析を行った。 業績としては、(i)の関係で、我が国の特許制度に関する報告を3回行った。これは直接的には日本の制度を扱うものであるが、特許制度の基本骨格についての政策論につながる内容であり、1回は外国(台湾)で英語で行った。(ii)については、日本国際経済法学会のワークショップにおいて、座長として問題提起をした(現在、同学会の年報用に、原稿を執筆中である。)。(iii)については、論文を専門雑誌に発表した。
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