インターネット上の表現活動には、表現者だけでなく、回線を接続するプロバイダや書き込みの場を与える掲示板の運営者など、様々な主体が関与する。彼らが違法な表現行為についてどのような法的責任を負うのかは、早急な理論的整理が求められているテーマである。本研究では、ドイツの判例学説を主な比較の対象としつつ、この問題に詳細に取り組み、特に他者の投稿を公表する場を設けるホスト・プロバイダの責任について、匿名の投稿を許すことと法的責任の範囲との関係を中心に、運営ページの営利性やプロバイダ自身の先行言説の影響などもふまえた詳細な検討を行った。
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