研究課題
本研究の目的は、通信・放送融合時代のコンテンツ流通を促進するための著作権・著作隣接権の適切な保護と、かかる権利の円滑な処理といった著作権法制の整備について検討し、新たな時代に対応した制度設計を行うことにある。具体的には、今後普及が見込まれるオールIP(インターネットプロトコル)化されたネットワーク・インフラ経由の映像コンテンツ配信という新たな局面に、著作権法がいかに対応すべきであるかを明らかにしたうえで、コンテンツのマルチユースを促進させるために放送番組等の二次利用(ネット配信)に如何に対応するのか、という課題を解決したい。通信・放送の融合に伴い、長年にわたり膨大に蓄積されている放送番組の二次利用ニーズが高まりつつある。しかし、放送局が制作した放送番組の場合、番組制作時の出演契約において、番組に出演している実演家から当該番組の二次利用に関する録音・録画の許諾を得ていないため、番組を二次利用する際には、改めて実演家の許諾が必要となる。番組がドラマであれば、原作者や脚本家、主題歌の作詞・作曲者等の許諾をも得る必要がある。こうした許諾に係る実務は、非常に煩雑である。また、古い放送番組については、出演していた実演家(俳優)の行方が判明しないといった事態に陥ることが少なくない。平成21年度は、以上のような放送番組の二次利用に代表されるコンテンツのマルチユース促進のために現行著作権法の問題点を検討するとともに、所在不明実演家の権利処理について欧米諸国の動向を文献調査した。加えて、ローマ条約をはじめとする著作権関連国際条約との兼ね合いについても文献調査を行った。
すべて 2009
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)
PROCEEDINGS OF SIIT2009, THE 6TH INTERNATIONAL CONFERENCE ONSTANDARDIZATION AND INNOVATION ININFORMATION TECHNOLOGY, IEICECOMMUNICATIONS SOCIETY(ISBN978-4-88552-240-6 C3055)
ページ: 55-60