本研究では、持続可能な発展を目指す法原則の総体を「持続可能な発展」法と位置づけ、1980年代以降、環境保護の基本理念として支持されてきた同概念の発展過程を検討した。その結果、同概念は、環境保護と経済成長を調和する概念として、国連の開発支援諸活動や多数国間環境協定の中で積極的に位置づけられてきたこと、そして、今日、環境、経済、社会の3分野を統合する概念として、その適用範囲は拡大傾向にあることを明らかにした。他方で、環境保護のための諸制度に市場メカニズムを導入したことから、同概念の法的意味はさらに抽象性を増したことを論証した。
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