統一後ドイツの変容について内政・外交の両面から分析を行い、多大な成果を得た。内政面では分割政府という政治構造についての考察を背景に、シュレーダー政権による社会保障・労働市場政策の改革過程、その影響にまで及ぶ包括的な分析がなされ、多数の論文へ結実した。外交面でも、同政権の政策を主観的・客観的という2つの「ヨーロッパ化」とそこから生まれるダウンロード的・アップロード的多角主義に着目し分析したことにより、ドイツが、実は冷戦の終結と「ヨーロッパ化」によって国益を多角主義の中に埋め込みながら積極的に追求する対外行動の余地を獲得していた逆説が明らかにされた。
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