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2011 年度 実績報告書

近代日本における官僚制の量的拡大とその動因

研究課題

研究課題/領域番号 20530105
研究機関広島大学

研究代表者

森邊 成一  広島大学, 大学院・社会科学研究科, 教授 (50210183)

キーワード行政官僚制 / 省内局・課編成 / 行政国家
研究概要

本研究は、『日本帝国統計年鑑』のデータが利用可能な、おおむね1888年から1938年までを対象として、軍人・軍属を除く、国の行政官僚制(中央省庁(府県を含まず)の官吏および雇員)の量的拡大と、『職員録』や各省の公刊史を基礎に各省の局・課数の変遷とを検討し、わが国の行政国家化の特徴を明らかにしたものである。
わが国の官僚制の量的拡大の最大の特徴は、巨大な現業部門の存在である。日露戦後の1905年~08年の三ヶ年間に、鉄道国有と電信電話郵便事業の拡大によって、現業部門の職員数は107%の増加を示し、非現業職員の23%に比して、著しく増大した。以後、官僚制の中で、現業部門は概ね60~65%の比重を占めつづける。そうした国の行政官僚制は、1890年の約3万人から1935年の35万人まで11.5倍に拡大した。その量的拡大は、大きく三つの時期に生じた。初期議会期に3万人規模で停滞していた官僚制は、(1)日清戦後約5万人へ、次いで、(2)日露戦後に13万人へと現業部門を中心に飛躍し、(3)第一次大戦中・戦後に、工業化と都市化を背景に22万人へと拡大した。
11.5倍化という量的拡大に対して、省の数は、1885年の内閣制施行時の9省から1938年厚生省発足時の13省へと1.4倍化と、省の安定性が確認され、主に既存の省の中で人的拡大が吸収された。初期議会の民党の圧力の下で、陸海軍省(および特許局)を除く各省本庁の局(官房・部を含む)・課数は、1895年29局・93課で底を打ち、1935年の74局(2.6倍)・271課(2.9倍)へと拡大した。こうした局・課数の拡大は、新たな行政課題・行政需要の拡大に対応したものと考えられ、この拡大も、日露戦後期および、第一次大戦中・戦後期と30年代の準戦時体制期に顕著に生じた。他方、拡大を押しとどめるべき「行政整理」は、官僚数では初期議会期(31%減)を除いては、微減ないし横ばいにとどまったが、初期議会下で局51%減・課49%減、第二次西園寺内閣以後の局11%・課13%減、加藤高明内閣の局5%減・課7%減という成果も見られた。また、国策統合を担う内閣官房の量的拡大は、1890年の32から1935年の86名へと2.7倍化にとどまっており、昭和10年代の国策統合機関設置論の背景なしている。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] 近代日本における行政官僚制の量的拡大とその動因2012

    • 著者名/発表者名
      森邊成一
    • 雑誌名

      広島法学

      巻: 第35巻

  • [学会発表] 近代日本における行政官僚制の量的拡大とその動因2011

    • 著者名/発表者名
      森邊成一
    • 学会等名
      中・四国法政学会
    • 発表場所
      松山大学法学部(松山市)
    • 年月日
      2011-10-22

URL: 

公開日: 2013-06-26  

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