本研究は、香川県における民主党議員・候補者の行動をミクロレベルで観祭することを通じて、小選挙区比例代表並立制下での政党組織(党中央-議員・地方組織-有権者)のあり方を明らかにすることを目的としている。平成20年度は、平成19年に実施された参議院選挙に立候補し当選した民主党公認候補の選挙キャンペーンの分析を行った。選挙は政党が最も活発に活動する機会であり、政党組織を構成するアクター相互の関係が浮き彫りになる。こうした観点から、今年度の研究においては、選挙キャンペーンの遂行においてどのようなアクターが主導的な役割を担ったのか、特に政党(党中央・地方組織)と候補者個人のいずれにウェイトがあったのかに注目した。その結果、基本的に候補者の持っ資源を活用し、候補者の個人的魅力を前面に出したキャンペーンが展開されていたこと、民主党関係者のサポートは厚かったものの、それが政党として一体的に行われたというよりは、個々のアクターの緩やかな連合体として行われていたことなどが明らかになった(この結果をまとめた論文が『選挙研究』24-1号に掲載されている)。合わせて、政党支部や民主党議員・候補者の活動の視察や民主党地方組織関係者へのインタビューを行い、民主党地方組織が持っ特質について分析を行った。その成果の一部が、平成22年度日本選挙学会研究会で報告される予定である。
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