本研究は、選挙制度改革が意図していた政党・政策中心の選挙競争およびその帰結としての政策凝集的な政党組織が実現したのかという問に対し、民主党議員の包括的な分析を通じて一定の解答を示そうとするものである。従来の研究は、ほとんどが自民党あるいは自民党議員を対象としており、民主党の研究は皆無に等しいのが実態であった。また、自民党が中選挙区制期の遺産を多く引き継いでいるのに対し、民主党は新選挙制度導入後に結党され、選挙制度改革後にキャリアをスタートした議員が多いことから、選挙制度改革の効果を検討する上では、好適であると考えられる。 具体的には、主に香川県における民主党議員・候補者を対象として、(1)選挙キャンペーンおよび(2)国会における政策形成活動について分析を行う。香川県は、民主党の伸張が遅れた地域であるが、その分、中選挙区制の影響は小さいと思われ、本研究の関心に照らして適当な事例と考えられる。 本研究は、民主党を対象とした研究が著しく限られている現状から、データの収集と集約を第一義的な目的とするが、現代日本における選挙政治・政党政治を総合的に理解するための一助となることを日指す。
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