日本では1997年に北九州市のエコタウン造成事業を始めてから、「エコタウン」や「環境自治体」という言葉が社会的なイシューとしてその広がりを見せてきた。各自治体は、環境保存や資源活用に関する取り組み、担い手について議論するようになり、環境市民や環境NGOによる環境首都コンテストも行われるようになった。1992年のリオサミット以降、減少傾向にあったメディアの環境関連報道も再び増加し、環境を巡る議論を盛り上げている。企業も環境会計の導入や環境報告書の作成に急ぐほか、環境関連の市民活動への財政支援を増やすなど、企業活動における「エコ」が新たなキーワードになっている。これに対して政府は、2008年7月に環境モデル都市を選定し認証を与えるなど、「環境」・「エコ」をめぐる社会的現象はさまざまな議論を呼び起こしている。 このような現象は、日本に限らず、EUやアメリカなど世界の各国においても同様で、しかもその広がりを見せている。また、国連環境委員会等は、環境ガバナンスにおける自治体、企業、市民、NPO等の役割やそのあり方について議論し、1992年にドイツのフライブルク市を環境ガバナンスの成功事例として各国の自治体や企業などに紹介している。 本研究では、ドイツのフライブルク市の環境政策とガバナンスについて、エネルギー、交通、都市計画と成長管理から分析を行っている。この分析において、本研究では、「環境ガバナンス」を、「公共利益」・「イシューネットワーク(Issue Network)」・「政策アイディアとその制度化」とし、これらが環境ガバナンスの構築にいかに反映されているのかを分析した。
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