本研究は、「容器包装廃棄物の減量」という「政策目的の実現」のため、「どういう政策資源と、利害関係の調整が必要なのか」、「その条件は何なのか」について、ドイツ、日本、韓国の政策を比較分析することである。具体的に、弟1に、政策目的、政策目標の設定、そして政策手段をめぐる議論が既存の制度のなかでいかに行われたのかについて、制度分析を行うものである。弟2に、ACF(Advocacy Coalition Framework)を用い、「同じ政策が、なぜ国ごとに異なる政策効果をもたらしているのか」、また「政策目的をめぐる社会的合意」と「利害関係の調整」がいかに行われているのかについて分析するものである。 このため、本研究では、ドイツ・日・韓の資源循環システムについて比較して、各政策手段について研究した。また、上記、3カ国の聞き取り調査を行い、連邦(国)レベルの環境政策が自治体、企業活動、市民社会にいかに制度化されていくのかについて、文献調査、聞き取り調査を行った。この結果、本研究では「政策手段のプログラム化」、「政策実効性と利害調整の関係」について実証できた。ドイツでは政策効果を上げるために、規制・市場メカニズム・自律的協定・情報と教育などの政策手段がプログラム化されている(Program Package、例:Eco-City Program、Ecology Tax Programなど)。これは、特定の政策手段(例、市場メカニズムを用いる手段の生産者責任負担など)が、単なる料金の上乗せにとどまらず、政策問題(容器包装廃棄物の減量、資源の利用形態の転換)を解決するため、企業、社会、市民、政治家、専門家などが政治、社会的な合意をいかに形成していくのか、また、科学技術が政策過程でどのように使われるのかについての議論である。また、政治参加の多様性である。政策アクターの参加が、政策の形成に限らず、実施過程にも及び、参加範囲も広いことが分かった。これは政策過程における「当事者」や「利害関係」の概念の違いであり、環境ガバナンスの構成要素や環境情報制度にも反映されている。このような現象は、容器包装政策のみならす、エネルギー政策や環境情報制度などの政策事例でも同じく察することができた。
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