フィンランドでは地方制度改革が進行中である。改革の主な目的は、社会の高齢化とグロバライゼーション化の進行する状況の中で、自治体の経済基盤を強化し、自治体サービスの供給の安全な確保と自治体の健全な発達を目指すものである。改革の結果として、2010年1月1日をもって県制度が廃止された。もともと県は国の出先機関であったので、これまでの一層制の地方自治制度については大きな変化はないが、同時に自治体間合併が奨励され、2009年には32の合併が行われている。 本年度については、研究代表者は、改革が進行中のフィンランドにおいて、2009年の経済危機後の福祉国家の未来についてどのような課題と展望が検討されているのか、フィンランド議会の未来委員会の報告から探る作業を行い、その成果を北海道自治研究(2009/488)に発表した。人口政策としては、出生率の向上、柔軟な労働生活、移民の受け入れ、高齢者の活力重視と雇用率を上げること、社会の二極化の防止が強調されている。 改革の中で特に重視されているのが、社会福祉・保健ケア制度の強化である。改革では自治体による保健ケアは20000人の人口規模を対象とすることが定められているので、合併または自治体組合による自治体間協力が強化されつつある。本年度に引き続き、保健医療についての自治体間協力の進行状況を追いつつ、まとめの作業を行うことを来年度の課題とする。 共同研究者は、研究課題である北海道全体と、そのなかでも特に、中空知地域の一次医療圏(奈井江町)と二次医療圏(砂川市)の医療連携に関して基礎的な資料の収集調査を行い、来年度の成果発表にむけてのまとめの作業に専念した。
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