研究概要 |
本研究課題は、先進国から途上国への政府開発援助(Official Development Aid,以下ODA)の政策過程を日本、イギリス、アメリカを中心に比較検討し、そこからより効果的なODA実施の方策を探ろうとするものである。研究2年目となる21年度は、主に分析枠組の検討とアメリカに関する事例分析をおこなった。分析枠組みとしては、「政策ネットワーク枠組」(政策決定過程に関わる重要なアクターの組み合わせを類型化したもの)を検討し、その妥当性を探った。この枠組のもとでは、日本は官僚主導型、イギリスは政党主導型、アメリカは多元主義型と位置づけられる。アメリカの事例分析に関しては、平成22年1月にワシントンDCとスタンフォードに出張し、議会図書館での文献収集とスタンフォード大学での聞き取り調査をおこなった。 今年度の成果としては、分析枠組みの検討に関しては、その一部を学会、公刊図書において発表した。アメリカでの事例研究につては現在分析をすすめており、平成22年度に成果として公表する計画である。これまでの分析では、アメリカは議会、大統領、市民団体およびシンクタンクが様々な段階で対外援助の政策決定に関与し、これらアクターの交渉のなかで政策イノベーションがおこっていることが明らかになった。これに対しイギリスの援助政策は政党主導であるため政権交代により援助政策が大きく変化する特徴をもつ。平成22年度は日本の援助政策過程を事例分析し3ヵ国の比較を行う予定である。
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