本研究課題では、ODAの実施体制の違いに関して日本、アメリカ、イギリスを対象に本人・代理人モデルを適用して比較検討する。日本のODA実施体制は複数の省庁が関与し複雑であるのに比べ、現在のイギリスは援助省の下で一元化された実施体制を採る。アメリカは日本とイギリスの中間に位置づけられる。これらの違いは、以下のように説明できる。日本は官僚主導型であり、戦後から60年代にかけてできあがった複数省庁体制が政治主導で変更されることなく継続した。イギリスの政策決定過程は政党主導型で、政権党の交代によってODA政策が大きく変化し、現在の一元的体制は1997の労働党政権のイニシアチブにより可能となった。アメリカは多元主義的な政策決定過程で、複数のアクターの介入により実施体制は複雑となっているが、同時にイノベーションもおこりやすい。
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