本研究は、国家および諸中間団体に自然人と同様の人格や権利能力、また集合的な心理の実在を措定し、その発展や保護についての論理を体系化しようとする試みが、純粋な法理論として以上に政治思想としていかなる展開を遂げたかを検討した。特に井上毅・穂積八束・美濃部達吉・末弘厳太郎の思想を「団体」論の系譜の中に位置づけ、それが国家であれ自治体や職能団体などの中間団体であれ、「団体」に期待される自己統治能力(しばしば「自治」という概念で説明される)と権利主体としての実体性がどのように理論的に説明されたてきたか、それぞれの時代の学問的背景、具体的な準拠理論、使用される理論的概念の継承関係や変化を明らかにした。
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