研究概要 |
本研究は政治集会における政治家と聴衆との関係に焦点を当てている。特に、話し手と聴衆との間にどのような相互作用が発生するか、聴衆の反応は、話し手の発表の内容や方法に即座にどういった影響を与えるかなどを国際比較の観点から検証し、明確にすることを目的とした。今年度は2009年の京都府(1、2,3、4,6区)の各政治集会における演説を録画し、18人の候補者のテープおこしを行った後、聴衆が話し手の言葉に対する反応を区別した上で、欧米で行われた同様の研究に基づいて基準となる修辞法の一覧表を作成した。 本研究の重要な結果は次の通りである。1.演説者が用いた修辞法の一覧表は、(1)リスト、(2)対比、(3)問題提起と解決策の提示、(4)見出しとオチ、(5)立場の明確化、(6)追求、(7)組み合わせ、(8)挨拶をする、(9)感謝を述べる、(10)同意を求める、(11)冗談を言う、(12)お願いをする、(13)選挙に関すること、(14)質問をする、(15)泣く、(16)個人名を取り上げる、(17)その他である。これらに対して聴衆の反応を区別することができた。 2.反応の発生回数の組み合わせについて【冗談-笑い】が最も多く125回、反応の全体に占める割合は34.72%があった。次に【お願い-拍手】が52回、全体に占める割合は14%、【感謝-拍手】が30回、全体に占める割合は8%であり、上記の3つで全体の57.49%を占めている。また、他の研究と比べて日本独自の修辞法(一覧表の(8)~(16))は合計305回、全体に占める割合は84.72%になることが分かる。 この研究を進める中で国際学会において上記の結果を発表し欧米で同様の研究を行っている研究者との意見交換を通じて日本と世界の相違点や類似点について活発な議論を行うことができた。今後、これまでの研究を論文としてまとめようと考えています。
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