本研究の目的は:1)社会科学のツールとしての世論調査について、認知科学的な視点からその問題点を再検討する。そして、2)そのことをつうじて、それがより信頼性の高いツールとして応用が可能となるように、具体的な提言をすることである。 本研究は、研究期間として全体で3年間を予定しているが、初年度は、研究計画調書に示したとおり、理論的な検討と調査による検証の2つについて、研究を進めた。そして、「政治的信頼」に関する意識の測定方法について、Web調査を利用して、3つの測定方法を比較するべく調査を実施した。 より具体的には、コンピュータを利用した意識調査で一般的となりつつある、評価項目のランダマイゼーションの是非を検討している。ランダマイゼーションにより、評価項目の順序によるバイヤス(たとえば、評価項目として最初に提示されたから、そのことで特定の回答バイヤスが見られる問題)が排除されると考えられているが、一方で、そのことが、その質問の「reliability(信頼性)」を損ねていることが判明した。その対処法として、最初に提示される評価項目を「固定」する質問方法を提案し、それについてのデータを取得した。現在、その分析を進めている。
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