研究課題/領域番号 |
20530128
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
石田 淳 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (90285081)
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研究分担者 |
吉川 元 上智大学, 外国語学部, 教授 (50153143)
土佐 弘之 神戸大学, 大学院・国際協力研究科, 教授 (70180148)
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キーワード | 国際秩序 / 干渉 / 内戦 / 人権 / 国家主権 |
研究概要 |
今年度の成果は国際秩序と国内秩序の共振の理論枠組をおおかた構築できたことにあった。国際社会には、「国内統治の国際基準の移植」を否定する内政不干渉型の秩序観と、それを肯定する内政干渉型の秩序観とが併存している。前者は国家の排他的な領域統治を相互に承認することを重視し、武力不行使、内政不干渉、領土保全といった規範原則に依拠するのに対して、後者は自決、人権保障といった規範原則に依拠し、このような国際規範が国家の媒介なしには実現できないがゆえに、国際社会は国内統治のあり方に関心を持つことを重視するのである。 共同研究の具体的実施については、東京大学において「共振する国内・国際秩序研究会」(2010年6月26日)を開催し、ゲスト・スピーカーの佐伯太郎氏(JICA研究所)が「交渉による内戦終結の可能性と限界-国内和平実現への国際社会の関与-」、湯川拓氏(東京大学大学院博士課程)が「地域機構における民主主義体制の集団防衛-ASEANとECOWASにおける行動規範の比較」と題する研究報告を行った。後者は、この標題で『アジア経済』第51巻第4号(2010年)に刊行された論文をベースとするものであった。さらに、基盤研究(B)「未(非)承認国家をめぐる国際関係に関する学際的研究」(研究代表者:中井和夫氏)との共催という形で、同研究会(2010年11月10日)を開催し、ゲスト・スピーカーの久保慶一氏(早稲田大学)が「コソボ独立宣言後のバルカン情勢」と題する研究報告を行った。このようにゲスト・スピーカーの招聘を実現したことによって、多面的に国際秩序と国内秩序の共振の諸相をめぐって議論を重ねることができた。
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