本研究の目的は、本研究では、ポスト京都議定書交渉に参加しているステークホルダーのインタビューや交渉文書をもとに、地球環境ガバナンスの国際制度設計にあたって、どのような力学が働き、最も重要な要因は何であったのか、を探ることにある。そのため、平成20年度は、まず、6月に開催された第28回補助機関会合と洞爺湖サミットの情報を収集し、ポスト京都議定書交渉に関する資料収集を行った。さらに、2008年12月に開催された気候変動枠組条約第14回締約国会議に参加し、議定書提案や各政府のポジションペーパーなどの条約交渉文書を収集すると共に、参加しているステークホルダーへの聞き取りを中心とした情報収集を行った。また、資料収集と並行して、地球環境ガバナンスの国際制度設計の重要な要素となる炭素市場の役割を検討し、その成果を日本国際政治学会で発表し、研究成果を発信すると共に、他の研究者から意見収集を行った。 ポスト京都議定書交渉は、2009年に開催される気候変動枠組条約第15回締約国会議で合意をまとめるべく、交渉が進んでいる。そのため、現在進行中の交渉のステークホルダーに現場で直接聞き取り調査を行うことは、実証主義的な分析を行う上で、非常に大きな意義があると考えられる。そこで、平成21年度以降も現地調査は継続する予定である。さらに、本研究は、地球環境政策研究という実社会が社会科学に求めながらも先行研究が少ない課題指向型研究という特徴も兼ね備えている。そこで、学術的及び社会的にも貢献するため、学会報告で得られた知見を踏まえ、平成21年度は論文を作成することを目的の一つとしたい。
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