本研究では、国境を超えて連携するトランスナショナルな市民社会(TCS)が主に欧米諸国において金融機関の社会的責任投資(SRI)に与え得る影響力を検証すると共に、その規範力について分析を行った。その結果、国・分野によって温度差があるものの、主に欧州諸国においてTCSは政治家・公人との連携や世論動員といったキャンペーンを通じてSRIを推進する主体として活動し、金融機関に対しても一定の影響力を行使していること、また2008年の世界金融恐慌はTCSがSRIを広める一助となっていること等が明らかになった。
|