研究概要 |
平成22年度においては、3年間の研究の総まとめとして、1970年代に生じた「グローバル・ショック」がどのような影響を日本外交に与えたかという課題を、より時間的・空間的な広がりを持つ視角から検討した。この過程で明らかになった点として,1970年代の「グローバル・ショック」とは、「国際金融」,「産油国へのパワーシフトによるエネルギー」,「中国の国際社会への参入」,「冷戦のグローバル化」という四つのショックであり、それぞれ1960年代に起源を持ち、1970年において日本に衝撃を与え、1980年代以降に課題が引き継がれたものである。 そこで分担者高橋が「国際金融ショック」の背景を1960年代にさかのぼり検討し、分担者池田は冷戦外交の基盤としての国内政治情勢を分析した。また、代表者佐藤は、1970年代における「グローバル・ショック」が日本に与えた影響を、まずは日米関係の文脈から時系列的に解明し、さらに「グローバル・ショック」を受けた日本がアジアに対してどのような外交を展開したかについての分析を行った。 以上の結果、途上国の発言力増大、ソ連の脅威の増大とグローバル化、中国の政治的台頭、国際金融の混乱といった要因は、まず経済的理由から先進国間協調へと日本外交を導き、さらに安全保障的考慮から対米協調の強化を生み、とりわけ1980年代におけるアメリカの一方的圧力・要求を日本が受け入れざるを得なくなるという日米関係のあり方に大きな「負の影響」を与えたことが判明した。
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