ナイト的不確実性下で、私的情報をもつ複数の投資家が金融資産取引を行う一般均衡市場の分析を行った。 まず、不確実性下の金融市場において、投資家が私的情報を得たときに投機的取引が発生する必要十分条件を明らかにした。 次に、不確実性下で私的情報が存在する場合の合理的期待均衡モデルの研究を行った。CARA-normalモデルに不確実性を導入したモデルを考え、適切な合理的均衡の概念を提案し、均衡の存在を証明し、均衡の計算方法を提示した。このモデルでは、不確実性が増大するとき、大きな主観的不確実性をもつ投資家は市場から退出する。そうした投資家の退出によって、不確実性プレミアムは減少し、リスクプレミアムは増大するので、危険資産のプレミアムがどう変化するかは、明らかではない。そこで、不確実性の増大によって危険資産のプレミアムが増大するための必要十分条件を明らかにした。
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