標準的な繰り返しゲームの文献は、いわゆるフォーク定理の成否の検討を一大テーマとしてきた。これに対し本研究の目的は、フォーク定理の前提を満たさない繰り返しゲームのクラスの中で経済学的に重要なものがなお多いことに着目し、そのようなモデルを中心に据えて理論分析を行い、長期的関係の経済理論としての繰り返しゲームの理論を拡充することにある。特に、(1)フォーク定理が成立しない不完全観測モデルの一般的分析、(2)割引因子が小さい繰り返しゲームの一般的分析、という2つの問題について、均衡利得の特徴付けなどの理論的分析を行う。同時に、これら成果の産業組織論やエージェンシー・チーム生産モデルへの応用研究を行う。
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