研究概要 |
昨年に引き続き、「コーポレートガバナンス」という概念を、「企業の利害関係者間(ステークホルダー間)に存在する様々な外部性を内部化し解決する仕組みの総称」と捉え、「契約理論」「ゲーム理論」の分析ツールを用いて、ガバナンスの仕組みの本質を明らかにする理論的研究を行った((1)~(3))。また、研究のアイディアは「ガバナンス論」一般に応用可能であるため、積極的にアイディアを発展させる研究も進めた((4)~(6))。具体的には以下の論文を仕上げた。そして、法政大学比較経済研究所研究シリーズ25『ガバナンスの比較セクター分析:ゲーム理論・契約理論を用いた学際的アプローチ』の責任編集を行い、本を出版するとともに、自分自身も、序章に加えて、下記(1)~(6)の単著・共著論文を本に収録した。 (1).「企業の統合vs.非統合、集権化vs.分権化の比較経済理論」 (2).「組織における結託と、職務設計および権限委譲を通じたコンフリクトのマネジメント」 (3).「補論:株主-経営者間の『ストックオプション契約』の理論分析」 (4).「中国における中央・地方政府間財政関係と"包"および"比賽"の概念:「契約理論」による開発ガバナンスの分析」 (5).「高齢者福祉民営化の可能性:不完備契約理論による分析」 (6).「欧州連合(EU)における集権・分権とインセンティブ問題:「契約理論」の視点(安定成長協定とユーロ圏財政ガバナンスを題材として)」 (7)その他、英文論文としては、"Mechanism design with collusive supervlsion : a three-tier agency model with a continuum of types, including applications to organizational design"を、1st Annual UECE Lisbon Meetings : Game Theory and Applicationsにて報告した。2009年11月。
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