本年度は視線測定器(旧型アイトラッカー中古品、整備点検済み)を購入し、それを利用して実験を行った。さらに他の研究費で購入した新型ソフト、G-COEにより年度末に購入された新型視線測定器を用いて下記の実験の実施または準備を行った。 (1)視線測定器による社会的選好の実験 オランダ、ティルブルグ大学の研究協力者(ポッタース教授ら)とともに、3人の参加者間の利益分配に対する社会的選好の実験をオランダで行った。その際、研究代表者は日本において、実験サーバの操作を行った。社会的選好の相違(マクシミン、効用和最大など)と視線の動きの相関関係を調べたが、統計的分析に関して新たな方法を開発することが必要となり困難を極めた。しかし、新たな方法の開発に成功し、論文としてまとめる最終段階となった。 (2)旧型、新型視線測定器による人々の戦略性の実験比較 研究代表者は2007年度までに旧型視線測定器により人々の戦略性の実験を続けており、研究データの蓄積がある。それと同じ実験計画で、新型ソフト、新型機器を用いて実験結果データ、実験参加者の印象、機器の操作性などの比較実験の準備を進めた。新型機器の納入が年度末であったため、本年度の研究は準備段階となったが、来年度に本実験を実施する予定である。 (3)視線測定器による世論調査表の分析 世論調査は社会的、経済的な問題に対する人々の意見を集約する非常に重要な方法である。近年、コンピュータを活用する方法が開発され、より精緻なデータを収集することが可能となった。調査表の画面を設計する際、質問の提示順や、一画面での情報量入力量の多寡は重要な要素であり、視線測定器はそれらを分析するための有用な手段である。本年度は世論調査が行われなかったので予備的実験を行い、視線の動きを測定することで有用な知見が得られた。
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