本年度は関連する基礎研究のまとめ、視線測定器による研究成果の論文のまとめ、およびそれらの研究成果の報告を行った。関連する理論研究については、ゲーム理論、実験経済学の研究成果に関し、合計5つの国際学会で、報告を行った。いずれの学会でも、報告するためには、提出された論文をもとにした審査が必要である。視線測定器による実験研究の進捗は下記のとおりである。 (1)視線測定器による社会的選好の実験 視線測定による効果の検証に関する研究成果の報告を神戸大学で行い、多くの有益なコメントを得た。さらに、論文の完成を目指して、オランダTilburg大学を訪問し、共同論文執筆者であるポッタース教授およびジアン博士課程院生と集中的な議論を行った。2009年度中、共同論文執筆者の体調の問題による議論の停滞が見られたが、その後、回復し、論文完成の最終段階となった。 (2)旧型、新型視線測定器による人々の戦略性の実験比較 戦略性の研究に加え、2009年度に帰納的ゲーム理論の新たな実験を計画して行った。これらの研究は互いに強く関連している。それを踏まえ、実験計画をさらに再検討し、拡張し、新型ソフト、新型機器を用いる新たな実験の準備を進めた。これにより、同時に旧型機器との比較が可能となり、旧型危機によるデータの活用がより容易になる。 (3)視線測定器による世論調査表の分析 2009年度に行われた衆議院選挙はたびたび期日の変更があり、その対応に追われ、調査表の画面の設計については多くの時間を割くことができなかった。2010年度の参議院選挙に向けて、調査及び実験の準備を進めている。
|