研究課題「オーストリア第一共和国史とオーストロ・マルクス主義に関する研究」について第一に、平成20年9月30日から10月19日までの20日間、予定どおり、海外文献資料調査研究を実施した。オーストリアのウィーンでは、オーストリア労働運動会議所、ウィーン労働会議所(AK)図書館を訪問し、かなりの数のオットー・バウアーの写真の複写、オットー・バウアー・アルヒーフの複写、1926-27年にかけての『アルバイター・ツアイツンク』紙を初めとした各種新聞の記事、SPO党大会議事録を複写した。現地で調達したウィーン古書店地図を頼りに、古書店めぐりをおこなった。また大型書店で新刊書を買い求めた。なお、終わり近くの数日を利用して、オランダのアムステルダム国際社会史研究所を少し訪問し、かなりの数のオットー・バウアー関係資料があることを発見した。来年度に再訪して、資料の複写を行いたい。 第二に、共著『ポストマルクス研究』に「オットー・バウアーとSPOリンツ綱領--オーストロ・マルクス主義の再評価に向けて」を著し(56頁、平成21年4月刊行予定)、本格的な実証研究の前の中間的成果を発表した。 第三に、上記の海外調査を行う前に、オーストロ・マルクス主義、SPO史、オーストリア第一共和国史に分類して、文献目録を中間的に作成した。 第四に、平成21年3月28日に岡山大学経済学部で開催された「ポストマルクス研究会」で、「オーストロ・マルクス主義の危機」という報告を行い、「7月15日事件」とその後に開催されたSPO党大会における路線対立を明らかにした。
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