・ 9月にアムステルム社会史国際所(IISG)において、18日間、バウアーとオーストロ・マルクス主義関連文献の文献資料調査研究を行った。とくにOtto Bauer Paperの資料をデジタル・カメラに収めることに全力を尽くした。しかし、分量がぼう大であり、バウアーの遺稿について、なおも未調査の部分が残された。 ・ 3月初めに科研費報告書『オットー・バウアーとオーストロ・マルクス主義-オットー・バウアー小伝と研究文献本目録-』を作成印刷した。ちなみに「オットー・バウアー小伝」52頁(400字詰め原稿用紙190枚程度)と研究文献目録14枚である。つまり報告書は、岩波新書1冊分の分量である。バウアーの誕生から客死いたるまで、これまでの研究に基づいて作成したが、生涯にわたる通史は、これまでの我が国における研究に存在しなかったので、好評をえた。 ・ 2011年3月28日、摂南大学で開催されたポスト・マルクス研究会のゼロ・セッションで上記報告書に基づく報告を行った。出席者の多くの関心を集めた。 ・ 本研究の残された課題として、Webに公開することが残されている。しかし、これは上記報告書が存在するので、それほど難しい問題ではない。今後すみやかにWeb公開に着手したい。 ・ また、今後の課題として、オットー・バウアーとオーストロ・マルクス主義に関するビブリオグラフィーの精緻な作成が残されており、この課題の達成は、世界的にみても高度な学術的価値を有するものであると考える。今回の科研費補助金をえて、その足掛かりを得たと考える。
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