研究概要 |
本研究は、17世紀英国共和主義思想の宗教性について、同時代の宗教思想の概観と分析しつつ、ジェームス・ハリントンの主著The Commonwealth of Oceana (London, 1656)だけでなく、第二の主著とも呼ばれるThe Prerogative of Popular Government (London, 1658)をも考察の対象とした。その結果、通説が強調するような統治機構に表現される宗教性(エラストゥス主義的な教会統治論など)だけでなく、歴史認識や社会認識などに関する議論にも、ハリントンに特徴的な宗教性を見出せることを明らかにした。すなわちその宗教性とは、端的に言えば、狭義の信仰や教義理解というよりは、むしろ人間社会に関する道徳哲学と呼びうるものであった。
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