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2010 年度 実績報告書

世俗化の論理・倫理とフランス経済学の形成

研究課題

研究課題/領域番号 20530169
研究機関下関市立大学

研究代表者

米田 昇平  下関市立大学, 経済学部, 教授 (20182850)

キーワード経済学の起源 / ジャンセニスム / ニコル / ボワギルベール / マンデヴィル
研究概要

ボワギルベールの自由主義経済学あるいは功利主義的な経済学の思想的源泉を探求し、おもにピエール・ニコルなどのジャンセニストとボワギルベールとの関連に光をあてた。ニコルが自己愛の自己抑制の心理的メカニズムなどを析出して「利益による秩序」の可能性を論じながら、社会秩序の最終的保証を神慮に求めたのに対して、ボワギルベールは人間の功利的行動が織りなす自律的な経済秩序の存在を浮き彫りにし、市場の強制力という自己愛の対立を調整しうる安定化装置の働き(レセ・フェール)に着目して、まったく新たな地平を切り開いた。この飛躍が経済学の生成と結びつく次第を3本の論文によって明らかにした。
続いて、17世紀後半のフランスの新思潮を同じく思想的源泉とするイギリスのマンデヴィルについて、彼の「私悪は公益」という有名な逆説の歴史的意義を明らかにした。ボワギルベールとマンデヴィルは、「私悪」によるのであれ「魂の堕落」(ボワギルベール)によるのであれ、人々の諸欲求が経済社会のダイナミズムを導く原動力であるから、高度に洗練された文明社会において、諸要素の連鎖を維持するのは、何より消費欲求に用いられる貨幣の循環的流通である、とする消費主導の経済認識において共通していること、このことは功利主義の源流とも目されるニコルの論説の延長上に位置づけうることなどを2本(うち1本は次年度公刊予定)の論文で論じた。
以上により、フランス経済学の源泉を明らかにするとともに、(マンデヴィルを通じての)イギリスにおけるその影響の一端を初めて明らかにすることができた。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2011 2010

すべて 雑誌論文 (3件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] マンデヴィルの逆説、その歴史的意義-英仏の思想的展開との関連で-(上)2011

    • 著者名/発表者名
      米田昇平
    • 雑誌名

      下関市立大学論集

      巻: 54-3 ページ: 61-76

  • [雑誌論文] 経済学の起源とアウグスティヌス主義-ニコルからボワギルベールへ-(上)2010

    • 著者名/発表者名
      米田昇平
    • 雑誌名

      下関市立大学論集

      巻: 54-1 ページ: 49-62

  • [雑誌論文] 経済学の起源とアウグスティヌス主義-ニコルからボワギルベールへ-(下)2010

    • 著者名/発表者名
      米田昇平
    • 雑誌名

      下関市立大学論集

      巻: 54-2 ページ: 37-48

  • [図書] 啓蒙と社会-文明観の変容2011

    • 著者名/発表者名
      佐々木武・田中秀夫編著
    • 総ページ数
      103-131
    • 出版者
      京都大学学術出版会

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公開日: 2012-07-19  

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