私はかつて拙著において、シスモンディ恐慌論の基軸には政府の介入と分配の平等という論理があることを指摘した。本研究の目的は、シスモンディ恐慌論を社会経済思想の視点からより明確にするために、その淵源とも言える人々の思想を考察することにある。シスモンディの思想形成に大きな影響を与えた人物に、ピエール・プレヴォと1796年にジュネーヴで刊行開始された『ビブリオテーク・ブリタニク』誌の編集者たちがいる。彼らはともに功利主義の思想に基づいて論陣を張っている。これらはシスモンディの平等思想に投影されているだけでなく、イギリス(スコットランド)とフランスやスイスロマンドとの間の深い知性の交流を示している。
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