研究課題/領域番号 |
20530172
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研究機関 | 愛知大学 |
研究代表者 |
保住 敏彦 愛知大学, 経済学部, 教授 (60167632)
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研究分担者 |
近藤 潤三 愛知教育大学, 教育学部, 教授 (80111863)
岸川 富士夫 名城大学, 経済学部, 教授 (80186212)
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キーワード | ドイツ社会国家 / ハルツ改革 / ハーバーマス / ドイツ社会民主党 / 韓国人看護師 / 炭鉱労働者 / ドイツ労働市場 |
研究概要 |
平成22年度には、保住は進化経済学会名古屋大会においてセッション「ドイツ社会国家の制度進化をめぐって」を企画し、報告「ドイツ社会国家の制度進化か?ハルツ改革の影響をめぐって」を報告した。また、岸川は報告「ハーバーマスにおける社会国家」を、近藤は報告「現代ドイツの社会国家改革と社会民主党の変容」を行った。1980年代から行われている社会国家の見直し、その変容についてハルツ改革を中心に検討した。グローバル化に伴う国際競争の激化と東西ドイツの統一に伴う財政負担の増加のために、ドイツはハルツ改革を通じて社会保障の手直しをせざるを得なくなったことが明らかになった。社会民主党の党員が労働者よりも中間階層主体になったという事情も、そうした改革をもたらした一因である。 研究成果としては、保住は論文「ハルツ改革の背景、その影響および改革の評価」を発表した。また、近藤は論文「戦後ドイツの韓国人看護師と炭鉱労働者」および「ソ連占領期東ドイツの特別収容所に関する一考察」を発表した。また、岸川は、論文[J.ハーバーマスにおける社会国家」を発表した。岸川の論文は、フランクフルト学派のハーバーマスの社会国家に対する批判的な見解の発展を論じている。 さらに、保住はブレーメンおよびミュンヘンにおいて、近藤はオスナブリュックにおいて、旧知の研究者などから、ドイツ社会国家とドイツ労働市場の現状について話を聞いた。このように社会国家の思想と現状について批判的に研究してきた。社会国家を形成した思想については、本研究費補助金を受けた以前の共同研究により明らかにしたが、この度の共同研究では、第二次大戦後の高度成長期に構築された社会国家の体制が、前記の事情により見直され、手直しされつつあることが、明らかになった。
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