研究概要 |
本研究の最終的な目的は「福祉国家理念の起源と現代性を確定する試み」である。当初の予定通り、本年度はLSEの教授であったライオネル・ロビンズ、学長であったウィリアム・ベヴァリッジ、ケンブリッジ大学の講師であったフレデリック・ラヴィントンに注目した。その中で、次のような成果が出た。(1)最大の成果は小峯敦編著『経済思想のなかの貧困・福祉』(ミネルヴァ書房、2011.3)を完成させたことである。10人にわたるプロジェクトを編集しただけでなく、序章と第4章も担当し、それぞれ「なぜ経済思想からみた福祉なのか」「1910~20年代における福祉の経済思想:社会と経済の分離・包含.併存」を執筆した。(2)同じく、福祉のプロジェクトとして、次の本の共著として参加したことである。"Beverige on a Welfare Society : an Integration of his Trilogy", in Roger E.Backhouse and Tamotsu Nishizawa (eds.) No wealth but Life : Welfare Economics and the Welfare State in Britain, 1880-1945, Cambridge : Cambridge University Press, 298-316, April 2010.(3)その他、英語での発表を少なくとも4回行った。それぞれトレント(イタリア)、シラキューズ(アメリカ)、ケンブリッジ、東京である。論題はベヴァリッジの福祉社会またはラヴィントンの企業者論であることが多かった。
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