研究概要 |
本年度の成果は,単一方程式の問題について,空間的自己相関と同時に時系列の相関を取り込んだパネルデータのGM推定量の開発および数値実験を通じた有限標本の下での推定量の特性の解析を行ったことにある. 時系列の相関については,Cohen and Paul(2004), Baltagi, Song, Jung and Koh(2007)で行われた実装と異なり,Elhorst(2008)で取り上げられた時系列および空間について同時に相関するタイプの誤差として定式化した下で推定量を導出した.このタイプのモデルについては,定常性の条件がElhorst(2007)の中でも吟味されていたが,これについては議論に問題があり数値実験を通じて定常性のえら得る領域を数値的に確認するとともに,必要な定常性の条件を改めて解析的に吟味した.またここで開発した推定方法を上智大学の有村俊秀氏,東京工業大学の岩田和之氏とのNOx,PM排出規制に関する共同研究に適用し,その有用性を検討した. また,一般家庭系廃棄物の排出に関する分析のための追加的なデータの整備を行った.
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