平成22年度は3年間にわたる研究期間の最後の年であり、その成果として5本の論文を加筆・執筆した。 「わが国の高等教育政策と大学の市場構造-産業組織論の視点-」『経済学論叢』(掲載予定)では、大学行政を有効に機能させるには国立・公立・私立という設置形態に関わらず、財政、会計、情報公開など大学運営の枠組みを共通化させることが望ましいことを指摘した。「国立大学の費用関数:トランスログ・コストシェアモデルによる同時推定」『同志社大学経済学部ワーキングペーパー』では、国立大学の費用関数をシェア方程式とともに同時推定することによって、先行研究よりも統計的に信頼度の高い推定値を得ることに成功し、規模と範囲の経済性、生産要素の代替関係などを計測した。「私立大学の費用関数:トランスログ・コストシェアモデルによる同時推定」『同志社大学経済学部ワーキングペーパー』では、私立大学の費用関数をシェア方程式とともに同時推定することによって、統計的に信頼度の高い推定値を得て、規模と範囲の経済性、生産要素の代替関係などを計測した。「国立大学の効率性:確率的フロンティアモデルによる計測」『同志社大学経済学部ワーキングペーパー』では国立大学の確率的フロンティアモデルを最尤法によって推定し、各国立大学の非効率性指標を計測した。「国立大学の生産性:時系列分析による技術進歩率の計測」『同志社大学経済学部ワーキングペーパー』では、生産関数の共和分推定によって学部教育の技術進歩を年率0.4%~0.8%と計測した。
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