2008年3月に「日本と韓国の生産性上昇率の国際比較」という論文を『立命館経済学』第56巻第5.6号に公表した。また2005年度に「TLP(全労働生産性)による中国産業別生産性上昇率の計測」という論文を『産業連関』Vol.13 No.3に公表した。2008年度は、これらの成果のうえに、中国の1987-2002年の産業別生産性の上昇率を日本1960-2000年及び韓国1975-2000年の生産性上昇率と比較し分析した。前の論文と同じく主要指標は全労働生産性であり、主要データは産業連関表である。現在までのところで得られている一応の結論は、「中国に関して1987-92年の期間は、経済成長率は高かったが生産性上昇率は高くなかった。しかし、1992-97年、1997-2002年に関しては経済成長率だけでなく、生産性上昇率もかなり大きく上昇している。それは日本がもっとも急速に上昇した1960年代、韓国が最も大きく上昇した1985-95年の生産性上昇率と比較しても遜色ない成長率である」というものである。 以上の暫定的研究結果を2008年9月に西安で開催された日中統計学国際会議において連携研究者の李潔埼玉大学教授と共同で報告した。 2008年度に行ったもう1つの仕事は、日中韓米の産業別生産性水準の比較のための基礎データである産業別購買力推計のためのデータの収集である。北京、ソウル等に出張し関係者の協力も得られ各種価格データをかなりはば広く収集できたので、2009年度以降整理し、加工分析を加え、産業別購買力平価の推計を進め、生産性水準の比較に利用する予定である。 日本の産業別生産性のデータを整理・分析していく中で関連研究として「現代日本の剰余価値率と利潤率-1980〜2000年の推計」という論文をまとめた。
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