日中韓の生産性水準を比較するための重要データである日中韓2005年産業別購買力平価の推計を夏までに一応完成させ、その推計方法と推計結果の一部(日中産業別購買力平価の部分)を、8月にアイルランド(ダブリン)で開催された国際統計学会で報告した。 この産業別購買力平価と日本・中国・韓国それぞれの2005年産業連関表を主要データとし、全労働生産性という指標で、2005年の日中韓の生産性水準の比較を行った。その方法論と比較結果の主要内容を11月に開催された環太平洋産業連関分析学会で報告した。比較結果の主要内容は以下のとおりである。 第1.全産品平均に関する全労働生産性水準は、高い順に日本、韓国、中国であり、その差はかなり大きい。 第2.産品別全労働生産性に関して、17産品部門のうち、日本は15産品部門において韓国より高く、韓国は2産品部門(農業、商業宿泊飲食業)において日本より高い。 第3.当該産業全労働生産性に関して、17産業部門のうち、日本は9産業部門において韓国より高く、韓国は8産業部門において日本より高い。 韓国が、当該産業全労働生産性に関して8部門において日本より高いにもかかわらず、産品別全労働生産性に関して2部門しか日本より高い部門が無いのは、当該産業の生産性において、韓国が日本より高い、あるいはほとんど同じ場合でも、それらの産業に機械や原材料を供給する部門の生産性が低いので、韓国のそれらの部門の産品別全労働生産性は日本より低くなるということである。このような状況を明らかにできることは、この指標・分析方法のメリットであると考える。
|