1980年代以降の、文化領域における税制の発展傾向に関して、オランダ・イギリス・フランス等でのヒアリングや、文献調査を基に、政策課税としての文化税制の理論的根拠やそのインパクト、望ましいデザイン等に関して、学会発表を行った成果を論文で公表した。 ・後藤和子・則本浩佑「政策課税としての文化税制-その理論的根拠と望ましいデザイン」文化経済学会編『文化経済学』第6巻第3号 ・後藤和子「政策課税としての文化税制-その理論的根拠とインパクト」日本財政学会編『財政研究』第5巻 これらは、日本では、文化税制という概念を使用した初めての学会論文である。文化税制の発展は、80年代以降の公私役割分担の変化に伴い、直接給付に代えて租税支出による社会保障が拡大している大きな流れに位置づけることができるが、新しい都市政策における文化の重要性が増したことや、クリエイティブ産業等の集積を促す等、文化固有の事情もあることが分かった。 また、国際比較研究としては、2009年10月にオランダ・ライデン大学のS.Hemels准教授(租税法)を招聘し共同研究を行うとともに、租税研究協会や横浜国立大学にて租税法研究者らと研究交流を行った。
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