研究概要 |
離職に関する既存研究では,教育年数が離職と負の相関を持つことを報告するものが多い.負の相関関係が生じるのは,(a)教育が「ジョブマッチング」を代替するからかもしれないし,(b)教育が企業特殊人的資本投資を補完し,離職率を低下させるからかもしれない.これらの仮説の1つでも正しいとすれば,教育の新たな効果を発見したことになり,政策評価上も重要な意味合いを持つ.本研究の目標は,上記2仮説が示唆するように,教育が離職に対し因果的効果を持つのか,あるいは,観察される相関関係は,能力や忍耐力のような,労働者の観察不可能な属性が離職と教育年数の双方に影響を与えるために生じる見かけ上の効果なのかを実証することである.
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