マイクロファイナンス産業の世界的な躍進を背景に、バングラデシュとカンボジアの農村貧困層はマイクロファイナンスへのアクセスを広く享受するに至っている。しかし、マイクロファイナンス機関による金融サービスが、必ずしも農村貧困層の起業に適しているわけではない。一方、近年は特定商品の流れを形成する「バリュー・チェーン」を利用した「バリュー・チェーン・ファイナンス」が注目を集めている。本研究では、貧困層による農業セクターでの起業や運営のための資金調達において、両者がどのような強みと弱みをもっているかを分析した。結論として、バリュー・チェーン全体を視野に入れた外部金融機関(マイクロファイナンス機関を含む)による資金貸付けを促進すること、さらにIT技術をその中にうまく組み込むことが、農村貧困層による起業にとって重要であると指摘できる。
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