本研究は、少子高齢化時代において予想される人手不足に対処するための方策としての外国人労働者受入れのインパクトを考察しようとするものである。そのため、次の4つの段階に分けた研究スケジュールに基づいて実施している。 (第1段階)文献サーベイ、データベース整理、内外の政策担当者・労使関係者ヒヤリング (第2段階)内外の研究者・実務家と討議をしながらの予備的研究 (第3段階)外国人労働者受入れおよびその代替策の効果に関する総合的な理論的・実証的分析 (第4段階)研究成果のまとめと普及、政策提言の実施 平成20年度には、このうち第1段階を完成させ、第2段階を開始した。具体的に言えば、以下のようになる。まず、本テーマに関するこれまでの内外の研究を文献サーベイして基本的方向性を定め、少子高齢化や外国人労働者問題に関するわが国および諸外国におけるデータを収集・検討した。また、本テーマが極めて政策志向的であることにかんがみ、文献やデータに基づく座学にとどまらず、政労使などに対し積極的にヒヤリング・意見交換を行った。国内だけでなく、国際機関や外国政府の政策担当者にもヒヤリングを行って実態を明らかにするため、平成20年7月には訪米し、世界銀行、米州開発銀行、エール大学などにおいてヒヤリングを行った。その結果、少子高齢化時代における人手不足への対応としては、女性などの国内労働力活用の方が、外国人労働者受入れよりも有望であることが明らかになり、21年度以降の理論的・実証的分析に向けたstylized factsが得られた。
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