本研究は、少子高齢化時代において予想される人手不足に対処するための方策としての外国人労働者受入れのインパクトを考察しようとするものである。そのため、次の4つの段階に分けた研究スケジュールに基づいて実施してきた。 (第1段階)文献サーベイ、データベース整理、内外の政策担当者・労使関係者ヒヤリング (第2段階)内外の研究者・実務家と討議をしながらの予備的研究 (第3段階)外国人労働者受入れおよびその代替策の効果に関する総合的な理論的・実証的分析 (第4段階)研究成果のまとめと普及、政策提言の実施 平成23年度は4カ年研究計画の最終年度であり、第3段階と第4段階を実施した。研究によって得られた知見の主なものは以下のようになる:(1)外国人労働者受入れの経済的効果は受入れの規模に依存しており、大規模な受入れはプラスになるが小規模の受入れはマイナス効果を生みやすい(つまり欧米のように大規模な受入れを行えばプラスかもしれないが、日本の現状のように数万・数十万といった小規模な受入れではコストがベネフィットを上回ることになる);(2)定住的移民の受入れはプラスになりやすいが出稼ぎ的外国人労働者の受入れはマイナスになる(特に出稼ぎ労働者の場合本国送金が多額であり、これが受入れ国における負の効果を惹起するひとつの要因となる)等。23年度にはこうした知見をわかりやすい形で、国内外で発表した(Inter-American Development Bank、中央大学等々さまざまな場所で報告を行った)。平成23年夏には厚生労働省における検討会の主査として外国人労働者受入れに際してのポイント制度に関する政策的提言の報告書をまとめたが、この報告書にも本研究での知見が活かされている。
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