研究概要 |
鉄道事業における上下分離の機能と効率性を研究テーマとし、鉄道事業の特性を取り入れた理論研究、実証研究、ヒアリング調査による事例研究を行った。 1.理論研究では,鉄道の上下分離やオープンアクセスが運賃にもたらす効果にっいて研究した。地域独占経営(日本型)、オープンアクセス(ドイツ型)、上下分離(イギリス型)のそれぞれの場合の運賃を比較し、上記の順に安くなることを示した。本研究については、今後さらに精緻化の上で論文としてまとめる予定である。 2.実証研究では,第三セクター鉄道の生産性に関する研究として「効率性指標に基づく並行在来線鉄道会社の経営に関する検証」がまとまり、2009年6月に公益事業学会2009年度大会(京都大学)で報告される。また、JRの民営化後の生産性についての研究として、「JRの費用構造に関する実証的検証-新幹線と在来線との兼営の効果-」が草稿としてまとまった。 3.海外の事例研究では,EUおよびドイツの鉄道改革についての調査研究を行い、欧州委員会エネルギー交通総局、ドイツネットワーク庁、ドイツ独占委員会、ベルギー鉄道規制庁、ベルギー競争庁に対してヒアリング調査を行った。また、ドイツネットワーク庁鉄道部長カーステン・オッテ氏の来日に際して日本とドイツの鉄道政策について意見交換を行った。EUとドイツの鉄道改革についての調査研究の結果は、論文「EUとドイツの鉄道改革」としてまとめられ、近く『国民経済雑誌』(平成21年5月号)に掲載される。 4.日本の事例研究では,新幹線の並行在来線のために設立された第3セクター鉄道の実態調査として、九州の肥薩おれんじ鉄道、および、その主要な出資者である熊本県庁と鹿児島県庁に対するヒアリング調査を行った。
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