研究概要 |
本年(2010)度は研究の最終年であるため,研究成果の報告および論文の公刊を中心に計画を遂行した.内藤は西部経済学会(WEAI)において,"Regional Agglomeration and Transfer of Pollution Technology under the presence of Trans-boundary Pollution"を報告し,汚染削減技術の水準が非対称であるCore-periphery modelを構築し,技術水準が優位にある国・地域からそうでない国・地域に技術移転を行った際の集積の効果を明らかにした.本論文は,欧文査読誌であるRegional Science Policy and Practiceに2010年に掲載された.伊ヶ崎は,これまでの研究蓄積である環境と経済成長に政治経済学的要素を導入し,モデルの構築を図った.Brock and Taylor (2005)を拡張し、環境汚染をともなう内生的経済成長モデルを構築した。パラメータ制約により、ゼロエミッションと持続的成長が両立するケース、ゼロエミッションに近づいていきながら、経済成長を成し遂げるケース、環境汚染が深刻化し、経済発展もまたストップするケースという3つのケースが生じうることを指摘した。 その後政府の最適な政策について明らかにした.福山は「途上国におけるゴミ集積場の立地とリサイクル活動の経済分析」において,途上国のゴミ処理問題に注目し,これまでゴミのリサイクルにおいて重要な役割を担ってきたインフォーマル部門のリサイクル行動を定式化し,望ましい途上国政府の政策について検討している。また,ゴミ集積所が都市部にある場合と農村部にある場合について比較分析を行い,最適なゴミ集積所の立地問題について考察を行っている。
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