研究課題
1.消費者協同組合とメンバーシップ市場に関する研究消費者協同組合は、その顧客である消費者が企業を法的に所有する、一つの企業の経営形態である。消費者協同組合の所有権を表すものが、ここでいうメンバーシップであり、このメンバーシップを売り買いする市場がメンバーシップ市場である。本年度は、まず、こうした消費者協同組合とメンバーシップ市場に基づく経済システムに関する理論モデルを構築した。そこにおける-つの大きな特徴は、出資者が企業を所有する株式会社と、その所有権を売り買いする株式市場に基づく経済システムとのアナロジーで、議論を展開している点である。そうした経済システムの現実例として、フィンランドの住宅会社とその持分市場について、ヘルシンキで現地調査を行った。この研究は主として三上が行った。2.非営利・協同セクターと公的セクターとの比較に関する研究電気、ガス、あるいは水道といった公益産業は、多くの公企業が存在していることはよく知られている。一方、こうした産業分野では、消費者協同組合形態の事業体も比較的多く活動していることは、あまりよく知られていない。われわれは、こうした現実を念頭に、主として公益産業を対象に、そこにおける非営利・協同セクターと公的セクターの類似点および相違点を理論的に整理していくことより、両セクターの補完・代替関係を説明できるのではないかと考えた。その一つとして、本年度は、企業の所有と経営の分離化における、経営者から所有者への情報伝達に焦点を当て、消費者協同組合と公企業との比較を行った。主として三上が消費者協同組合を、水野が公企業を担当し、おおよそ1ヶ月に1回のペースで研究会を持ち、両者の結果をつき合わせる形で議論を進めている。
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L. Benzoni and P. Geoffron (editors)Infrastructure versus service-based competition : The case of mobile telecommunications. Quantifica Publishing
ページ: 73-81