本研究課題において、私は、従来、もっぱら歴史的・理念的な観点から議論されることの多かった非営利・協同企業を、社会科学としての経済学の立場から分析的に考察する試みを行った。本研究課題で得られた主たる成果は次の三点に集約される。第一に、企業の経営形態比較の問題を、標準的なミクロ経済学の枠組みの中で論じた。第二に、この分析枠組みの中で、資本のサンク・コストが企業の経営形態の決定に大きな影響を及ぼすことを示した。第三に、株式会社制度に代替しうる企業制度として、「消費者協同組合とメンバーシップ市場に基づく経済システム」の原理を示した。
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