研究概要 |
2008年度までになされた電力デリバティブの価格評価に関わる研究成果は以下の通りである.対称的な発電企業2社だけを供給者として仮定し,電力スポット市場へ提示する供給関数と電力先渡の売りポジションの2つを各発電企業のストラテジーとする.そして,自社の利益の確率分布のα-quantileを最大にするように各発電企業は戦略的に行動すると仮定した.この場合にナッシュ均衡を導出した.そして,そのナッシュ均衡における電力スポット価格式および電力先渡取引市場全体の供給集合が導出きれた.ただし,電力先渡の需要モデルが構築されていないために.電力先渡の需要曲線(集合)の導出および電力先渡価格の導出にはいたっていたい.そいで,2009年度はこの点を中心に既存研究を調査し,電力先渡に対する需要行動のモデル化を試みた.しかし,現段階である一定レベルに至ったモデルは「電力先渡に対する需要行動をリスク中立とずる場合」のみである.このモデルはベンチマークとしての役割を担うものである.その他には有用と思われるモデルは得られていない.このため,この研究に関しでJournalへ投稿するという段階ではないと判断した.ただし,この成果は非完備市場における資産価格評価の問題の解決への大きな貢献が期待できる. なお,これまでの研究成果を港湾間競争の分析へ応用した.それをまとめたものがIshii, M., Lee, P. T-W, Tezuka, K., and Chang, Y. T. (2009)である.そして,これにデータ分析と数値例を加えた研究成果を投稿準備中である.
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