研究概要 |
今年度はまず、昨年度(21年2月)実施した企業に対する採用についての郵送によるアンケート調査「企業の人材採用の動向に関する調査(有効回収数:475件)」の集計作業を進め、その結果をインターネット上に公表した。また、解説を付した「資料」を作成し大学紀要に掲載すると共に、論文を1篇作成し公表した。これらにより、調査結果のスピーディーな公表が図れた。なおこの調査は、中途採用を新卒者採用と比較しながら企業の実態を問うたものであったので、リーマンショック以降急激に景気が悪化する中での採用動向の変化に、結果としていち早く迫ることができた。これと並行して、文献研究およびインタビュー調査を実施し知見を広めた。インタビュー調査では、上記のアンケート調査回答企業を訪問し、企業に、採用に至る背景や採用活動の実務的な展開状況とそれに対する評価を尋ね、同時にその企業に近年採用された中途採用者に、これまで職業キャリアや前職退職の経緯、現職就職の経緯等を尋ねた。これらの知見をもとに、転職者に対するアンケート調査票を作成した。そしてそれを用いて、21年12月初旬にインターネットによるアンケート調査を実施した。実際の調査は、調査モニターを確保している調査会社に委託し、そのモニターのうち「最近5年以内に現職に転職してきた正社員で、現在40歳未満の大卒者」という条件に合う人を対象とした。調査では1,000人からの回答を目標としたが、短期間で1,162人からの有効回答を得た。 本研究は、若年・中堅層の転職と中途採用の動向とその実情を、企業と個人の両面から明らかにすることを意図したものである。そのための、2つの調査データが昨年までの研究活動を通じて獲得できたので、今年度は、これらを詳細に分析し課題を達成していく。
|